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マイルス・グループ卒業後、30年にわたって第一線で活躍する人気ピアニスト、チック・コリア。ポップでコンテンポラリーな資質をもつ彼だが、90年代に入ってからは若手実力派をメンバーにオリジンというやや硬派なジャズを聴かせた。その大型コンボよりベースとドラムスだけを残し、トリオで録音されたのが本盤。タイトルからも解るように、多彩なチックの30年を総括するような、もの凄く密度の濃いトリオ。通をうならせるような音楽性を、かつての人気コンボ『リターン・トゥ・フォーエヴァー』で見せたポップさで包み込んだ、聴きやすく、聴き応ごたえのあるトリオだ。
過去の優れた「チック・コリア・トリオ」と比べても、高い技術と柔軟で豊富な音楽性を持つ若手の2人とのトリオは少しも劣らない。ヴェテランのチック・コリアも2人に鼓舞され、今まで以上に気合いが入っている。(高木宏真)